「今月の講義を聴いての感想」
参禅会 五十嵐嗣郎
今月の提唱
『正法眼藏』「身心學道」の巻(8)
たとひ三大阿僧祇劫、十三大阿僧祇劫、無量阿僧祇劫まても、捨身受身しもてゆく、かならす學道の時節なる進歩退歩學道なり。禮拝問訊する、すなはち動止威儀なり。枯木を畫図し、死灰を磨塼す。しはらくの間斷あらす。暦日は短促なりといへとも、學道は幽遠なり。捨家出家せる風流、たとひ蕭然なりとも、樵夫に混同することなかれ。活計たとひ競頭すとも、佃戸に一斉なるにあらす。迷悟善悪の論に比することなかれ、邪正眞僞の際にととむることなかれ。
今月の所感
今月のご提唱の箇所について、明石方丈様は次の三つに集約できると述べられました。
⒈ たといどんな長い時間であろうとも、身を捨てて、自己を忘れ、凝り固まった頭を解きほぐし、余分なものを捨てる。このことによって新たな自分を受身することができる。このようにして仏道を学んで行けば、例外なしに真実を学ぶ時点があり、そのような時点の中では、ある場合は進み、ある場合は後退しながら、真実を学んで行くのである。
真実を学んで蓄積されたものは知識となるが、莫大な知識を自分の体験を通じて捨象・選択されたものは智慧となる。
⒉ 月日の過ぎるのはまことに迅速であるが、真実を学ぶということは無限の長さを持っている。昭和時代に活躍した歌舞伎役者の六代目尾上菊五郎の辞世の句に、「まだ足りぬ 踊りおどりて あの世まで」というのがありますが、学道には終りがないのです。
⒊ 迷いとか悟りとか、あるいは善とか悪とかという相対的知識で、仏道修行を滞らせてはいけない。人間が自由な行動、真実と一体になった行動をしたいと思ったならば、善・悪の区別を乗りこえなければならない。善・悪という相対的知識を乗りこえるための修行が坐禅である。
今月のお知らせ
暑さ寒さも彼岸までと言いますが、今年の秋のお彼岸の中日(9月22日)は、まさに前日までのうだるような暑さから、涼しい秋風が吹く日和りに変わりました。ただ例年ならば、山門の前には彼岸花が満開になっているのですが、今年はわずかに小さな彼岸花が一輪だけ咲いているだけでした。
岡本年番幹事からのお知らせ
・『道元「赴粥飯法」』(角川文庫)を執筆された清野宏道様(愛知学院大学講師)からお菓子をいただきましたので、皆様にお配りいたします。
杉浦『明珠』編集委員長からのお知らせ
・『明珠』82号が完成しました。今回は作務特集として中原さんの遺稿も掲載されています。
明石方丈様からのお知らせ
・9月18日に杉浦さんと中原さん宅へ伺い、『明珠』82号をお届けしてきました。
・『明珠』82号は内容が大変濃いものとなっています。
・まだまだ暑い日が続きます、作務の時は水分を補給して、休養しながら行ってください。
河本さんからのお知らせ
・明日(9月22日)、自由参禅があります。
今月の司会者 岡本匡房
今月の参加者 11名
来月の司会者 小畑二郎