新緑もゆる6月の朔日、午前中は毎月恒例の自由参禅を行い、午後からは年に一度の一日攝心を実施しました。まさにこの日、当院にとっては坐禅三昧の一日となりました。午前中はあいにくの空模様で気温も低く肌寒く感じられましたが、午後からは日差しが差し込み春らしい陽気が回復し、好坐禅の日となりました。
一日攝心は、一炷目の坐禅を午後12時40分から開始し、じ後計四炷の坐禅を行いました。参加者の中には、午前中の自由参禅から参加している猛者も複数名見られ、一日攝心のみの参加者も含めて、おのおの至福のひと時を過ごし、身心を整えられたことと思います。
坐禅後は、『月舟和尚夜話』をテキストに、方丈による講義が小一時間行われました。その中で方丈は、『夜話』の中にある「初発心の時が一番肝要だ」という言葉を引き合いに出し、その気持ちを持続させることが重要だと話されました。何故なら、初めて決心した時の気持ちが最も強固であり熱量も大きい、将棋で喩えるなら対戦を前にした初期配置の布陣が一番強固なのと似ている。でも勝つためには、それを崩しながらも一手づつ前に進まなければならない、修行もそれと同じであると述べられました。人間一つの物事に取り組み続けると、経験値が上がり、やがてそこから「慣れ」が生じてきます。その慣れから来る心の油断が「初発心」の思いをどんどんと削り取っていくのだとし、普段から隙を作らず、人生の節目節目に己の「初発心」を省み、熱量を衰えさせないことが大切であると述べて講義を締めくくられました。