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 冷気を帯びた乾いた風が境内を抜けると、ススキの穂は揺れ、枯葉は地を這うように滑っていく、その様は秋の風が「色なき風」といわれるように、一抹の寂寥感を感ぜずにはいられません。

 

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 そんな侘しさを感じさせる季節になりましたが、本日はあいにくの空模様で、数日前から居座り続けるぐずついた天気の中での坐禅会となりました。こと坐禅に関しては、先月よりは好坐禅のコンディションといえるかもしれませんが、雨による冷え込みが厳しいせいか、いささか肌寒さを感じながらの坐禅となりました。しかしながら猛暑・残暑の頃と比較すると、「水を得た魚」という言葉があるように、道元禅師のいうところの「水清うして地に徹し、魚行いて魚に似たり。空闊うして天に透る、鳥飛んで鳥の如し」の心境、つまり魚や鳥のように、自由自在に水中を泳ぎまわり空を飛ぶような心持ちで、坐禅に臨むことができたのではないでしょうか。
 坐禅後は、本日で10回目となる『禮拜得髄』の巻の講義が行われました。本日の講義は、先月同様「女人なんの咎があるか、男子なんの徳があるか」についての続きになります。講義の中で方丈は、道元禅師が批判した唐の國の愚痴僧の言葉に焦点を当て、「嫡嫡相承」の重要性とその難しさについて話しをされました。そして更に「加上説」及び新約聖書ルカ傳にある譬え話「放蕩息子の帰郷」を参考に、いかに「才」があっても、自身の得た「知」を喧伝するために、大切な教えの根幹を改変するような行為は、やがて寛容の精神を失い、排他的な考えを助長することになりかねないとして、警鐘を鳴らされました。
 講義後は、茶話会を行い、連絡事項等を伝達した後、散会となりました。

 

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